肝細胞癌の病理形態学的研究 : 血管構築よりみた進行性肝癌並びに血管内腫瘍塞栓の病理
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概要
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肝細胞癌の血管構築を検索する目的で,剖検屍体肝の肝動脈,門脈に,それぞれ異なる色素で着色したgelatin添加の造影剤を注入し,血管造影像と肉眼的,組織学的所見を対比検討した.<BR>血管造影にてhypervascularな所見を示す肝細胞癌の血管構築では,動脈性腫瘍血管の拡張,増生,腫瘍細胞間の血洞形成ならびに動・静脈短絡が著しい.一方,hypovascularな肝細胞癌では,動脈性腫瘍血管の増生を主体とし,腫瘍は厚い結合織性の被膜で囲まれて周囲の組織と明瞭に境され,周辺の非癌部肝組織の血管を圧排していることが多い.<BR>血管内腫瘍塞栓は, 門脈枝に高頻度にみられ,門脈枝周囲の細動脈からの分岐および胆管周囲毛細管叢により供血をうけ腫瘍塞栓の部において動門脈間に短絡を形成し,肝細胞癌の多くに合併する肝硬変と相侯って,門脈圧亢進を促進する因子となり得る.
著者
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