肝疾患における血清LDH zymogramの検討
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概要
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寒天電気泳動法を用いて,肝疾患患者の血清LDH zymogramを検討した.肝疾患においては,isoenzyme pattern上多くの場合LDH4およびLDH<SUB>5</SUB>の増加が認められ,急性肝炎や原発性肝癌において特に著明であった.また急性肝炎では回復期にLDHの総活性は正常化してもなおLDH5の異常増加は持続した.原発性肝癌においてはLDH<SUB>1</SUB>の低下とLDH4およびLDH<SUB>5</SUB>の増加が特徴的で,LDH<SUB>5</SUB>>LDH<SUB>4</SUB>となる傾向があり,LDH総活性よりもLDH<SUB>5</SUB>分画の方が他の酵素学的な検査とよく相関し,経過観察上より鋭敏であった.転移性肝癌においては,LDH1の低下とLDH<SUB>3,4,5</SUB>の増加が著しく,いわゆる悪性腫瘍の血清LDH isoenzyme patternを呈し, LDH<SUB>4</SUB>≧LDH<SUB>5</SUB>となる傾向があり,原発性肝癌とは区別された.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文