急性ウイルス肝炎における小葉間胆管病変の形態学的研究 : 光顕による臨床病理学的検討
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概要
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発症後平均47.6±17.9日に肝生検を施行した急性ウイルス肝炎48例,55生検材料の小葉間胆管病変を検討した.胆管病変は,空胞化,核多形性,細胞腫大,核崩壊,核濃染,細胞浸潤,多層化の順に頻度が高く,胆管破裂,胆管消失像,類上皮肉芽腫の所見は認めなかった.胆管病変は全生検材料の18%に認め,A型肝炎(26%),非A非B型肝炎(19%), B型肝炎(10%)の順に高頻度であった.A型肝炎の1例に,明らかな胆管内細胞浸潤を認めたが,それぞれの肝炎に特徴的な胆管病変は指摘しえなかった.また,黄疸消失後26日以内の肝生検では,A型肝炎はB型肝炎に比べ,有意に(p<0.05)胆栓形成率が高く,胆栓消失遅延がうかがえたが,胆管病変と胆栓形成との関連はなかった.胆管症変は非黄疸例にもあり,また,臨床生化学的 な検査値との関連はなく,その意義付けは困難であった.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文