急性ウイルス肝炎における小葉間胆管病変の形態学的研究 : 電顕による病理学的検討
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概要
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急性ウイルス肝炎17例,18生検材料の小葉間胆管および細胆管を,電顕を用いて検討した.光顕では健常にみえた胆管でも,多くは胆管上皮細胞が暗調化および明調化する変化を認めた.A型肝炎は,非A非B型に比べ暗細胞が多く,逆に,非A非B型肝炎は,A型に比べ明細胞が多かった.なおB型では,暗細胞はA型と同程度に,明細胞は非A非B型と同程度に認めた.基底膜に欠損を認めたのは,暗細胞が基底膜側に脱落する胆管と,高度に細胞浸潤を認めた胆管で,いずれもA型肝炎例であった.また,胆管内細胞浸潤を認めた胆管では,周囲の浸潤細胞も多かった.小器官は比較的保たれていることが多く,pinocytotic vesicleと胆管周囲および胆管内細胞浸潤との関連性は認めなかった.胆管内細胞浸潤でA型肝炎の特徴はマクロファージの浸潤が認められることで,A型肝炎の1例において,胆管内に浸潤したマクロファージのlysosome中に,ウイルス様粒子を認めた.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文