人工皮革製造における溶剤DMF回収プロセスの開発 : DMF水溶液におけるDMFの分解速度
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概要
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DMF (Dimethylformamide) は, もともとポリアクリルニトリルの溶剤として開発されたものであるが, 現在では有機溶剤として汎用され, 特に人工皮革 (Man-made leather), 合成皮革 (Synthetic leather) 用ポリウレタンの溶剤として広く利用されているが, これを皮革工業に工業的に最初に使用したのは筆者等である.これらの製造プロセスにおいては, 使用されるDMFは主要工程からDMF水溶液として排出され, このDMF水溶液からDMFを効率よく回収することはプロセス経済上重要である.すなわち人工皮革クラリーノ (1963年開発開始) の製造においてポリウレタンの溶剤としてDMFを使用, 凝固工程から出て来る水溶液からのDMF回収に蒸留を採用した.人工皮革製造における蒸留によるDMF回収の連続運転を実施するためには解決すべき問題はいろいろとあったが, この中で重要な問題の一つは, DMF水溶液の加熱に伴うDMFの加水分解による蟻酸の発生である.この現象はDMFの分解によるDMFの損失と発生した蟻酸による装置腐蝕の二つの問題を起こす.また, この問題は人工皮革製造プロセスの問題だけでなく, DMF水溶液からの蒸留によるDMF回収では常に起こる問題である.加熱温度が高くなるとDMFの分解速度が大きくなるのでDMF水溶液からの蒸留によるDMF回収に当たっては減圧蒸留を採用し, 加熱温度を低下させDMFの分解速度を抑制する必要がある.そこでこの事実を確認するためにDMFの分解速度の温度依存性を実験により検討することにした.
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