特殊環境メタン生成細菌に関する研究 : 新規菌の探索・分離・同定とその培養特性
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概要
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エネルギー回収型の廃棄物・廃水処理法として多用されているメタン発酵法に関し, 現行法の技術限界を打破することを主目的として, 苛酷な培養環境においても生育し, メタン生成活性を維持する新規な特殊環境メタン生成細菌に関する基礎研究を行い, 以下の結果を得た.<BR>1) 高効率な分離手法を開発した上で, 広く国内外の特殊環境サンプルを対象に, スクリーニングを実施した.その結果, 多数の好塩性, 好アルカリ性, 好熱性, 耐低温性, 重金属耐性のメタン生成細菌の分離に成功した.<BR>2) これらの分離菌の中で特に, 米国西部高塩環境から分離された好塩性メタン生成細菌 (strain NY-218;生育至適NaCl濃度2.5〜3.0M, 好アルカリ性, 耐低温性も併せ持つ) は新属・新種, 日本の東北地方湖沼底泥から分離された好アルカリ性メタン生成細菌 (strain NY-728;生育至適pH8.1〜8.7, 耐低温性も併せ持つ) は<I>Methanosarcina</I>属の新種と同定された.<BR>3) 新規性の高いこれら2株に関し, 菌学的諸性質と培養特性を詳細に解析することで, 応用の可能性に関し基本検討を行った.1〜3<I>l</I>スケールでの培養特性の評価結果は, 試験管培養レベルでの結果とほとんど同じであったこと等から, さらに大きなスケールの大量培養においても, 両菌の諸特性は維持されるものと考えられ, 実際のメタン発酵プロセスへの応用の可能性が示唆された.
- 社団法人 化学工学会の論文
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