市販固形飼料摂取によるカニクイザル腸内フローラの加齢による変化
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概要
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自家繁殖, 継代飼育したカニクイザルにサル用市販固形飼料を給餌し, 年齢別に腸内フローラの変化をしらべた。糞便1gあたりの総菌数は0.5〜1歳 (A群), 2〜3歳 (B群), 4〜5歳 (C群), 6歳 (D群) の4群では10<SUP>10</SUP>個に推移したが, 10歳以上 (E群) では10<SUP>9.7</SUP>とやや減少した。<BR>A〜E群のいずれについても, 腸内フローラ中<I>Bacteroidaceae</I>, <I>Eubacterium</I>および<I>Streptococcus</I>の3種が優勢で主たるフローラを構成していた。<BR>A群ではこれらの主たるフローラのほかに, <I>Bifidobacterium</I>が多くみられた。B群では<I>Bifidobacterium</I>はA群とほぼ同数存在するが, <I>Lactobacillus</I>がA群よりも増加した。C群では<I>Megasphaera</I>が増加し, <I>Clostridium</I>が減少したが, 全体としてはB群とほぼ同じ傾向を示した。D群では主たるフローラの構成比率がB群およびC群とかなり異なっているほか, <I>Megasphaera</I>が全群中でもっとも多かった。E群は主たるフローラの中で<I>Streptococcus</I>が他の群よりも明らかに減少していた。また, <I>Megasphaera</I>も同様に他の群よりも減少した。<BR>これらの結果から, カニクイザルの腸内フローラは加齢により変化すること, さらにこの変化からカニクイザルを0.5〜1歳, 2〜5歳, 6歳および10歳以上の4群にわけることができると考えられた。<BR>ヒトの腸内フローラをしらべた他の報告と比較して若干のちがいがみられるが, カニクイザルをヒトのモデルとして栄養, 代謝実験に使用しうるものと考えられた。
- 社団法人 日本栄養・食糧学会の論文
著者
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片山 純男
雪印乳業技術研究所
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三橋 重之
雪印乳業株式会社技術研究所
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片山 純男
雪印乳業 生物科学研
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三橋 重之
雪印乳業 (株) 技術研究所
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大江 道夫
雪印乳業 (株) 技術研究所
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片山 純男
雪印乳業 (株) 生物科学研究所
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