体タンパク質合成の翻訳段階調節に関する栄養生化学的研究
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概要
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タンパク質合成の翻訳段階は転写段階に劣らず重要な調節段階であることが再認識され始めている。食餌摂取に応答して起こる急激な体タンパク質合成の上昇に注目し, 骨格筋および肝臓でのこれら急激なタンパク質合成の亢進は, 翻訳段階の開始活性の上昇がその一因であり, 中でも従来考えられてきた開始因子2 (eIF2) が介するステップではなく, むしろ開始因子4 (eIF4) が介するmRNAのリボソーム40Sサブユニットへの結合ステップが重要な調節部位であることをラットを用いて証明した。また, こうした翻訳開始段階の活性化のシグナルとしては, 食餌タンパク質由来のアミノ酸, 中でも特に分岐鎖アミノ酸の一つであるロイシンが決定的な役割を果たしていることを個体を用いた摂食 (in vivo) 実験により実証した。さらにロイシンの翻訳開始活性化の刺激は, mTOR経路を介して伝わること, ロイシンはタンパク質合成において重要な働きをしているリボソームタンパク質のmRNAの翻訳を特異的に刺激することを示した。
- 社団法人 日本栄養・食糧学会の論文
- 2003-04-10
著者
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