第一原理分子動力学による超臨界水の構造および超臨界水中のベックマン転位反応
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概要
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超臨界水の物理的および化学的性質について第一原理分子動力学を用いて解析した。超臨界水中では水素結合は存在するが,そのネットワーク構造は完全ではなくクラスター状になっている。シクロヘキサノンオキシムからε-カプロラクタムを生成するベックマン転位反応が超臨界水中(0.7 g/cm3,670 K)で進むことを,ヒドロニウムイオンの存在下で確認した。超臨界状態の温度の影響でなく,密度が低いためにヒドロニウムイオンが完全に水和されることがなく,反応性が高まりベックマン転位反応が進んだ。密度が1 g/cm3では,ヒドロニウムイオンは水和されて安定化し,ベックマン転位反応は進まない。