純タングステン薄板の圧延集合組織の発達に及ぼす圧延方法の影響
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概要
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異なる三種の圧延方法により純タングステン薄板を作成し,高圧延率の範囲で圧延集合組織の発達過程をX線回折技法により検討した.さらに最終圧延板(板厚0.1mm,圧延率99%)の金相組織及びセル組織の様相を光学顕微鏡及び電子顕微鏡により観察した.その結果,以下のことを明らかにした.<BR>(1)タングステン薄板の圧延集合組織は他のB.C.C金属と類似した圧延集合組織成分からなる.基本的な方位成分は{001}〈110〉,{111}〈112〉と{112}〈110〉方位の3成分で構成されていた.しかし,本研究で用いた3種の圧延方法すべてにおいて,97%以上の高圧延率状態において{111}〈hkl〉方位成分が顕著に発達した.<BR>(2)最終圧延試料のセル及び金相組織の様相は圧延方法によって明確に特徴づけられる.すなわち,ストレート圧延の場合,圧延方向に対して延伸セル組織を有し,一方,クロス圧延の場合等軸セル組織を有する.また,金相組織にも両圧延方法で繊維組織の形状,大きさに異なった様相が観察された.<BR>(3)純タングステン薄板の深絞り性は最終圧延集合結組織の優先方位成分量よりも圧延セル組織の形状,大きさと密接な関係があると思われる.