超皮質性感覚失語の1症例-上位概念に基づく物の分類障害の検討-
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概要
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聴覚的意味理解障害が物の名称(例;蝶,鶴)よりも上位概念語(例;虫,鳥)において顕著な超皮質性感覚失語の一症例を報告した.本例は,上位概念(例;虫,鳥)に基づいて物を分類する検査でも,対照群(運動失語3例,感覚失語5例,健忘失語4例)より有意に低い成績を示した.一方,本例は,色や形などの属性に基づいて幾何図形を分類する検査では,対照群と差が無かった.したがって本例の物の分類の障害はカテゴリー化能力一般の障害によるものではないと考えられた.また,上位概念語の喚語が障害されていた健忘失語症患者が,上位概念に基づいて物を分類することができたので,本例の物の分類の障害は喚語障害から生じたものでもないと考えられた.以上の結果より,本例では物の上位概念(類概念)が障害されていたと考えられ,意味理解障害の要因のひとつに,語の対象概念自体の障害がありうることが示唆された.
著者
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牧下 英夫
リハビリテーションセンター鹿教湯病院
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遠藤 邦彦
リハビリテーションセンター鹿教湯病院
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平林 一
リハビリテーションセンター鹿教湯病院臨床心理科
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牧下 英夫
リハビリテーションセンター鹿教湯病院神経内科
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平林 順子
リハビリテーションセンター鹿教湯病院リハビリテーション科
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平林 一
リハビリテーションセンター鹿教湯病院リハビリテーション科
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遠藤 邦彦
リハビリテーションセンター鹿教湯病院リハビリテーション科
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