誘発反応聴力測定における判定に関する研究
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概要
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目的:現在実施されている誘発反応聴力測定における反応判定の信頼性や恒常性について検討し,問題の所在を明らかにする諺的で行なわれた.実験方法:被検者は正常成人では覚醒時,睡眠時ともに3名,正常幼児では覚醒時2名,睡眠時3名計11名である.頭頂部電極より誘発反応を導出し,データレコーダに記録した.次に記録された波形をコソピュータで各50回加算し,XYレコーダで加算波形を作成した.音刺激は1000Hz.,立上り立下り10msec,持続100msecの純音で2秒に1回の割で被検者の一方の耳に与えた.刺激音の強さは幼児睡眠時では0,20,40,60,80dBHL,幼児覚醒時および成人では0,10,20,30,40,dBHLの5種,これに音刺激(一)の条件を加え,計6種の条件で刀10回ずつ,1名の被検者につき計60個の波形サンプルを作成した.このサンプル総計660個を4名の判定者に見せ,反応の有無を判定させた.そのうちの2名の判定者は幼児睡眠時の波形につき,約6か月後に再判定を行い,初回判定成績と比較した.実験成績:1.成人覚醒時では3名の被検者,4名の判定老による平均陽性判定率は0dB(15.83%),10dB(70.83%).20dB(77.5%),30dB(96.67%)で,一方誤陽性判定率は0.83%に過ぎなかつた.2.成人睡眠時で陽性判定率50%を越すのは10dB段階(50.83%)であるが,覚醒時と異なり誤陽性判定が27.5%と著しく増加している.3.幼児覚醒時で陽性判定率50%を越すのは20dB段階(67.5%)で,誤陽性判定は26,25%であつた.4.幼児睡眠時では3名の被検児の平均陽性判定率は0dB(30.83%),20dB(44.17%),40dB(50.0%),60dB(78.33%),80dB(86.67%)で,一方誤陽性判定率は26.67%であつた.5.4名の判定者が全員同一判定を下した判定数の割合は,成人覚醒時で76.7%と最も高く,幼児睡眠時では55.6%と最も低い.6.2名の判定者の初回判定•再判定間の一致度は,幼児睡眠時のサンプルで,1名は92.2%,他の1名は77.8%であつた.
- 社団法人 日本耳鼻咽喉科学会の論文
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