喉頭癌,その放射線療法と喉頭微細手術の併用について
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概要
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目的:1963年以来,喉頭癌に対しては6000-7000radの全線量照射を行ない,その後の経過に応じて二次処置必要例のみに喉頭部切あるいは全摘•亜全摘を併用するようにしてきた.さらに治療成績を向上させ,形態と機能を保存するために,適正照射量を個々の症例について決め,腫瘍摘出術をみあわせているものも少なくなく,また進展例でも部切や亜全摘ですむように,照射過程に応じて喉頭微細手術を実施している.方法:喉頭癌で放射線治療中あるいは治療後経過観察中の症例に,腫瘍の発生部位や広がり,あるいはその治療経過に応じて微細手術を行なつた.声帯癌には照射開始の直前あるいは直後に,組織切片採取だけでなく,充分に腫瘍をつみとり,術後照射の形式をとつた.仮声帯,喉頭蓋喉頭面,披裂部などの腫瘍で,照射によつても治癒傾向の少ない症例には,減量手術の形式で腫瘍を清掃除去し,いきいきした腫瘍は残して照射を続けた.部切•亜全摘後の症例で,形成喉頭内に壊死を生じた場合には,内視鏡的に壊死組織を吸引除去することをくり返した.結果:1972年1月より1973年12月までの2年間に48例の喉頭癌症例に微細手術を実施した.初診時所見では,T2,T3症例が多かつた.未照射例より,全線量照射終了例,さらには再照射例まで,照射のさまざまの段階で行なつた.照射以外には気管切開や喉頭部切,亜全摘を受けていたり,あるいは既に喉頭微細手術を受けたことのある症例もあつた.照射効果が不充分で腫瘍の壊死脱落傾向が少なく組織切片採取にとどめたものや,腫瘍が進展していて微細手術では清掃が不充分な症例もあつたが,31例(65%)は内視鏡操作で充分清掃できた.止血も容易で,経口挿管例でも気管切開は不要であつた.喉頭全摘例は激減し,竿期に社会復帰している症例が多い
- 社団法人 日本耳鼻咽喉科学会の論文
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