頭頸部外傷後遺症における聴覚障害および平衡機能障害について
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概要
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頭頸部外傷患者の難聴,めまいがどのような受傷機転で起るのか,また聴覚検査,平衡機能的査結果ではどのようなものであつたかを頭部外傷とむち打ち損傷に分けて的索した.症例数は15才から70才迄の男女658名である.頭頸部外傷患者の聴覚,平衡障害の発現機序は々ある.脳実質障害と思われるもの例えば脳挫傷型は聴力損夫60dB以上の症例数において脳振盪,単純型より多い,また脳神経症状を現わしたものは自記オージオグラムでJerger III IV型に多い.また脳幹の障害と思われるでperverted nystagmus, Lightning Eyemovement, OKPのInversionや椎骨脳底動脈不全,外傷性正常脳圧水頭症には聴平衡障害がある.このほか中枢性眩暈にRomberg陽性や下肢の偏倚が多くこれは深部知覚の障害がかなり関与している.頭頸部外傷は受傷部位により一定の病像が現われるものでなく脳外傷の衝撃の方向CoupとCo-ntrecoup injuryで脳損傷の好発部位が決まることが多い.内耳においては蝸牛前庭三半規管の振盪による内耳難聴,前庭障害が起る.その他中枢,末梢の聴覚,平衡機能障害を区別できない合併したものがあり,また聴覚神経路と前庭神経路とは解剖的にまた組織の低抗性も異なり聴覚機能と平衡機能とは必ずしも一定の同じ病像(中枢または末梢)を現わさない.頭部外傷とむち打ち損傷を比較すると聴覚障害.耳鳴,平衡障害の三つを伴うものが頭部外傷例がむち打ち損傷例より多い.聴力障害のみは頭部外傷例が多いが耳鳴,頭鳴のみはむち打ち損傷例が多い.中枢性眩暈と思われるものは頭部外傷例が多くこれらは頭部外傷が直接脳組織に衝撃が加わるからと思われる.
- 社団法人 日本耳鼻咽喉科学会の論文
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