山形県最上郡地方の土地保全に関する地質調査
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概要
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奥羽山脈東側寄りの緑色凝灰岩 (グリーンタフ) 地域は雪崩による裸岩地と崩壊地とが発生し, 河川は常時荒れ川の相貌をみせるのに反し, 西側出羽丘陵の油田第三紀層 (オイルターシヤリ) 地域は地辷地が卓越し, 特にその南部の銅山川一帯は油田第三紀層の上に厚い火山灰 (シラス) が被覆しているために, 地辷の程度が桁外れに激しさを加えていることがわかつた。<BR>中央の盆地は含炭層地帯となつているが, こゝは洪水時の洪水冠水と扇状地の干魃以外には土地災害があまり顕著でない。<BR>南東限の東小国村には, 凝灰質砂岩層および礫岩層が分布し, 河川に流れ込む土砂の量が多く, これは下流部に被害を及ぼす。<BR>なお断層線に沿つて地辷地の発生している所が, 数カ所見受けられた。<BR>崩壊と地辷りとは直接関係はないが, 硬質岩地域では崩壊は裸岩地に進む。渓流の側方侵蝕と雪崩とが主要な営力であり, 岩石の天然風化も補助的な営力である。軟質岩地域では渓流の縦侵蝕と側方侵蝕とがともに作用して, 川沿いに亀裂を生じさせ, その亀裂に沿って深層風化が進み, その部分が滑面となつて地たりが起きる。この地辷りは後方へ後方へと拡大して行く。粗鬆岩地帯では雨裂・崩壊, まれには陥没が起きるが, 構成粒子の形が角ばつているか, あるいは円味を帯びているかによつて, 地形も異なり, また災害の程度も違つてくる。<BR>滲透水の速度を計算してみると, 第2表のようになるが, これは地辷り・崩壊・雨裂などを量的に表示する指標となりうる。<BR>モンモリロナイト系粘土は地た地から検出され, カオリナイト系粘土はシラス以外の崩壊地から検出された!透水係数とこれら粘土鉱物との間に一定の関係がある。
- 社団法人 東京地学協会の論文
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