化学療法を併用した直腸癌術前照射療法における組織学的効果判定 : 線維化と残存癌腺管の形態計測

概要

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直腸癌の術前照射における組織学的変化を残存癌腺管および線維化に着目し,癌組織中の癌腺管率(CG-R),線維化率(FR)を画像解析装置を用いて定量的に計測し,胃癌取扱い規約効果判定(Grade0〜3)と比較した.対象は照射群34例,非照射群32例で,照射線量は42.6Gyである.照射群の残存癌腺管の分布は周堤型8例,潰瘍底型3例,び漫型22例,癌消失例1例であり,周提型,潰瘍底型で照射効果の強ものが多かった.粘液変性像は照射群13例,非照射群4例にみられ照射群で出現頻度が高かった.CGRは非照射群32.8%に対し,照射群ではGrO:33.9%,Grla:13.4%,Grlb:5.3%,Gr2:3.8%,Gr3:0%であり,組織学的効果と相関を示した.FRは非照射群16.4%に対し,照射群では36.0%と有意に上昇していたが,GrO:28.1%,Grla:36.9%,Grlb:35.2%,Gr2:38.1%,Gr3:40.4%と照射効果との間には相関を認めなかった.以上よりCGRはFRに比べ組織学的効果判定において客観的,定量的指標となることが明らかになった.