ラットのサーカディアンリズムにおよぼすニコチン自由摂取の影響
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概要
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ラットにおける各種サーカディアンリズムにおよぼすニコチンの影響について検討する目的で,飲水中よりニコチンを自由摂取させた際の自発運動量,飲水行動量,血清コルチコステロン,薬物代謝酵素活性の日内変動を測定した.雄性4週齢のWistar系ラットを用い,薄明期と薄暮期を含む12時間間隔の明暗サイクル条件下の飼育室内で,一定飼料と水を自由に摂取させて飼育した,ニコチンは10 mg/kg/dayとなるよう飲水中に混ぜて6週間自由摂取させ,ニコチンを与えずに同期間飼育したラットを対照群とした.飼育期間中に測定した自発運動量と飲水行動量は,ニコチン摂取群,対照群ともに夜行性動物特有のサーカディアンリズムを示すことが認められた.その際,ニコチン摂取群では,対照群に比し,1日の総飲水行動量は減少を示したが,総自発運動量(ambulation)は増加を示した.飼育期間終了後に測定した結果からは,ニコチン摂取群の体重および肝,腎,脳の湿重量は,対照群より低値であった.肝重量の体重に対する比は,6時を除き,両群の間に有意差は認められなかった.また,血清コルチコステロンは,両群ともに同じパターンのサーカディアンリズムを示すことが認められたが,ニコチン摂取群では,対照群に比し,暗期に高値を示した.肝のニコチン酸化酵素活性は,ニコチン摂取群で,暗期に対照群より若干高値を示した.以上より,ニコチン10 mg/kg/dayの摂取は,ラットの行動量,血清コルチコステロン,肝のニコチン酸化酵素活性において,時刻によっては,対照群と測定値に差を示すことが認められたが,夜行性動物特有のサーカディアンリズムのパターンに対しては,著変が認められなかった.
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