ラット胎生期に暴露した自律神経作用薬の仔の行動発達に及ぼす影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
SD系ラットの妊娠7日から19日までの13日間にmethamphetamine(0.2 mg/kg),reserpine(0.2 mg/kg: 妊娠7〜13日と妊娠14〜19日の期間に分割投与),norepinephrine(0.5 mg/kg),epinephrine(0.5 mg/kg),propranolol(10 mg/kg),chlorpromazine(5 mg/kg),haloperidol(1.5 mg/kg),pilocarpine(5 mg/kg)およびatropine(0.5 mg/kg)などの自律神経作用薬を1日2回に分けて連日皮下投与し,仔の中枢神経系の発達への影響を行動発達の面から捉え検討を加えた.reserpine(妊娠7〜13日投与)およびhaloperidolを投与すると母動物の体重増加が抑制され,さらにmethamphetamine投与群では妊娠21日に9例中2例の母動物が死亡した以外,他の自律神経作用薬は母動物に対して影響を及ぼさなかった.投薬群の母動物の分娩は,すべて正常であり,死産仔の増加および外部奇形も認められなかった.出生仔の生後発育をみると,methamphetamineおよびhaloperidol投与群の仔に体重増加抑制がみられたが,その他の群の仔の身体的発達には薬物の影響は認められなかった.正向反射,断崖回避および負の走地性から離乳前の行動・機能発達をみると,reserpine(妊娠7〜13日投与),norepinephrine,chlorpromazineおよびhaloperidol投与群の発達が遅延していた.Animexによる自発運動量の観察から,生後21日にはreserpine(妊娠7〜13日投与)およびepinephrine投与群の雌に運動量の亢進が,またchlorpromazine投与群の雄に抑制がそれぞれ観察されたが,これらの変化は一時的で,生後56日の観察では影響は認められなくなった.open field試験ではreserpine(妊娠7〜13日投与)投与群の雌にambulationの増加が認められたのみであった.reserpine(妊娠7〜13日投与),norepinephrineおよびatropine投与群にみられたshuttle boxによる条件回避学習の獲得低下は,中枢神経系の機能的障害によるものではなく,reserpineおよびnorepinephrine投与群では中枢の器質的障害による可能性が考えられたが,atropine投与群の成因についてはその詳細は不明であった.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
-
渡辺 敏樹
日本製薬工業協会医薬品評価委員会 基礎研究部会「実態調査」委員会
-
高山 敏
第一製薬(株)研究所, 安全性研究部
-
渡辺 敏樹
第一製薬株式会社中央研究所
-
渡辺 敏樹
第一製薬(株)中央研究所安全性研究センター
-
松橋 邦夫
第一製薬(株)中央研究所安全性研究センター
-
松橋 邦夫
第一製薬中研
-
松橋 邦夫
第一製薬株式会社申央研究所
-
高山 敏
第一製薬(株)中央研究所安全性研究センター
関連論文
- 生殖試験 「Behavioral Teratology」実態調査結果 : 第3回 Behavioral Teratology 懇話会
- 交感神経作用薬のラット胎児心拍数に及ぼす影響
- 19 ハムスターを用いた催奇形性試験Vitamin A大量投与の胎仔におよぼす影響 (第二回毒性研究会記事)
- 11 甲状腺機能におよぼす数種薬剤の影響について (第二回毒性研究会記事)
- ラット新生仔に投与した自律神経作用薬の行動発達に及ぼす影響
- ラット胎生期に暴露した自律神経作用薬の仔の行動発達に及ぼす影響
- ラットのシャトルボックス回避能力に及ぼす試行数およびUS強度の影響 : 第3回 Behavioral Teratology 懇話会
- 自律神経作用薬のラット仔の行動発達に及ぼす影響(II)胎生期投与実験
- 自律神経作用薬のラット仔の行動発達に及ぼす影響(I)新生仔期投与試験
- 胎生期ラット心臓における交感神経系の棲能的発達に関する検討
- 合成Luteinizing Hormone-Releasing Hormone (LH-RH) の代謝に関する研究