血液灌流イヌ冠動脈標本でのアラキドン酸による血管反応性に対するトロンボキサンA<SUB>2</SUB>合成酵素阻害剤, Y-20811, の作用
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概要
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アラキドン酸の血管反応性に対するトロンボキサンA<SUB>2</SUB>(TXA<SUB>2</SUB>)合成酵素阻害剤,Y-20811の作用を,供血犬の血液で表面灌流した摘出イヌ冠動脈標本を用いて検討した.Krebs-Henseleit液で標本を灌流した場合,アラキドン酸は標本の張力に対しては顕著な影響を及ぼさなかった.しかし,供血犬の血液で灌流した場合,アラキドン酸(10-100μg)により冠動脈標本は一過性の収縮と弛緩反応を示した.血管内皮を剥離すると,アラキドン酸による弛緩反応が消失し,収縮反応が増強された.Y-20811(1mg/kg,i.v.)を供血犬に投与するとアラキドン酸による収縮反応を抑制し,弛緩反応を増強した.インドメタシン(5mg/kg,i.v.)およびアスピリン(30mg/kg,i.v.)もアラキドン酸による収縮反応を抑制した.しかし,インドメタシンはアラキドン酸(10-100μg)による弛緩反応を完全に,アスピリンは低用量(10-30μg)のアラキドン酸による弛緩反応を部分的に抑制した.以上,血液灌流イヌ冠動脈標本において,Y-20811はアラキドン酸による収縮反応を抑制するとともに,弛緩反応を増強し,これらの作用はそれぞれTXA<SUB>2</SUB>の産生抑制および弛緩性アラキドン酸代謝物の産生亢進による作用と推測された.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
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