胎生期カイニン酸暴露ラットの乳幼児期の行動発達
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概要
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海馬を中心とした大脳辺縁系に高い親和性をもつカイニン酸(KA)を妊娠ラットに少量単回投与し,出生児における乳児期の行動発達および体重変化への影響,カイニン酸への反応性を検討した.カイニン酸3mg/kgあるいは蒸溜水(DW)を妊娠11,12,13,14,17,18あるいは19日目に単回投与し,出生児(G11KA〜G19KA,G11DW〜G19DW)を実験に使用した.その結果胎生14日以降暴露のKA群では雌雄ともに有意な体重の増加を認めた.またオープンフィールドテストによる観察では,1)G13KA群〜G18KA群での15日齢における最初の線を横切るまでの潜時の有意な短縮,2)G17KA群雌雄での区画線横切り頻度の有意な減少,3)G12KA群雌およびG19KA群雌雄以外のKA群での15日齢における後肢立ち上がりの早期発現が認められた.自発的首振り運動,身づくろい行動の出現頻度,開眼期,排尿頻度および尿量に差はなかった.G12KA群,G14KA群およびG17KA群については,5週齢にてカイニン酸9mg/kgの皮下投与を行ない,反応性の変化を観察した。後肢ひっかき運動,辺縁性痙攣頻度については差はなかったが60分間のwet-dog shakes数はG17KA群雄のみ有意な増加を示した.本実験成績からカイニン酸は妊娠中比較的少量の単回投与でもラット胎児に影響を及ぼし,出生後の機能異常として生理的日常行動に変化が現れることが明らかとなった.成長および行動変化は,海馬,大脳皮質,視床下部の形成期である胎生13〜18日でのカイニン酸胎生期投与に対し危険度の高い時期であることが示唆された.
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