カイニン酸間歇投与時に見られるラットのWet-dog shakesの減弱と痙攣発現の変化
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概要
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カイニン酸(kainic acid)をラットに間敏的に2回全身投与し,scratching,wet-dog shakes(WDS):および痙攣発作についてその発現の変化を検討した.雄ラット25日令にカイニン酸9mg/kgおよび対照群として蒸溜水を1回腹腔内投与し,3日,7日,14日あるいは21日後に両群にカイニン酸9mg/kgを再度投与した.いずれの群においてもscratchingの初発時間と頻度に差を認めなかったが,60分間のWDS頻度はカイニン酸を間歇的に2回投与したいずれの群も有意な減少を示し,特に14日間隔群における減少が大であった.痙攣の初発時間は短縮傾向にあり,とくに7日後の2回目投与群では有意に早まった.カイニン酸単回投与後60分間のWDS総数およびscratching初発時間が,加令に伴い増加,遅延する事を認めた.3日後,14日後群について1回カイニン酸および蒸溜水を投与後の脳の海馬領域の組織学的所見を比較したところ,3日後群では両者に差はなく,14日後群では錐体細胞樹状突起の形成が劣悪である事を認めた.以上,カイニン酸の間歇的2回投与後のWDS頻度:および痙攣発現の変化から,カイニン酸によるscratching,WDSおよび痙攣の発現に関与する神経系には違いがある事が示唆された.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
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