Urinastatinの抗凝血作用について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
urinastatinの抗血液凝固作用についてin vitroの観察を行い次の結果を得た.凝血スクリーニング試験において,正常ヒト血漿への諸種濃度urinastatinの等量添加は,部分トロンボプラスチン時間を用量依存性に延長するが,プロトロンビン時間においては2,000単位以上の高濃度urinastatin添加で延長した.またurinastatinは用量に依存したトロンビン時間の延長を示した.ヒト血漿よりの活性化接触因子XIIa因子,精製ヒト血漿カリクレイン共に,それぞれの合成基質法において5,000単位/ml以上のurinastatinの添加で明らかな阻害が合成基質S-2302の吸光度変化から認められた.Russells viper venom (RVV)による活性化X因子も通常の合成基質法に3,000単位/ml以上のurinastatinを添加して合成基質S-2222の吸光度変化から阻害が認められた.上述の成績からurinastatinはヒト血液凝固に対して内因系,外因系および共通凝血系の凝固因子の作用を阻害するものと思われた.ヒト正常血漿の活性化部分トロンボプラスチソ時間(APTT)は,20,000単位/ml urinastatinまたはヘパリン添加により延長したが,Urinastatinとヘパリンの同時添加では相加的に凝固時間を延長し,抗トロンピンIIIとurinastatinの血液凝固阻害の機構には競合性は認められなかった.20,000単位/mlの高濃度urinastatinの純化活性化プロテインCに対する阻害はみられなかったが,80μg/mlのgabexate mesilateではプロテインC阻害が合成基質S-2366を用いて観察された.純化ヒトプラスミンと血漿中でストレプトキナーゼで活性化されたプラスミンを,各濃度urinastatin共存下で合成基質S-2251の分解能を比較すると血漿の存在下でurinastatinのプラスミン阻害効果が低下した.このことからプラスミンに対するurinastatinの阻害に拮抗する物質または反応環境が血漿中に存在することが示唆された.
- 社団法人 日本薬理学会の論文