諸種薬物によるSulfhemoglobin形成に関する研究(第4報) : ―化学物質誘起異常血色素症におよぼす各種治療剤の影響―
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概要
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methemoglobin(MHb)およびsulfhemoglobin(SHb)誘起物質として4-chloroaniline (4-Cl-A)を選び,主としてマウスにおけるMHbおよびSHb血症におよぼすmethylene blue (MB),thionine,ascorbic acid (ASA),sodium thiosulfate (STS),N-(2-mercaptopropionyl)-glycine(MPG)および還元型glutathione(GSH)の影響について検討した.1)MHb血症に対する予防ないし治療効果ならびにSHb血症に対する予防効果:MB i.p.投与は前処置,同時,後処置によりいずれの場合も4-Cl-AのMHb形成を抑制し,予防および治療効果を発現するが,SHb形成を増強した.thionineにも同様の作用が認められた.両剤にはそれ自身にもMHbおよびSHb形成作用が認められた.STSおよびMPGは4-Cl-Aと同時i.p.投与によりMHb形成を抑制するが,遅発性SHb形成には無影響であった.しかしMHb形成の最大が過ぎる120分後投与では,i.p.およびi.v.によりMHbのみならず後発するSHb形成を抑制する予防効果を発現した,GSHは120分後i.v.によってのみMHb形成を抑制し,SHb形成を予防した.ASAはi.p.,i.v.を問わず,MHb形成抑制作用を示さないが,120分後投与により後発するSHb形成に対する防禦効果を示した.MBとASAの臨床用量に対応する用量を120分後併用i.v.投与するとMHbレベルの低下作用とSHb形成予防効果が認められたが,MBの増量はASAのSHb形成予防効果を阻害した.2)SHb血症に対する治療効果:MB,STS,MPG,GSHおよびASAいずれも既成のSHb血症に対する治療効果を認めることができなかった.上記成績から臨床において化学物質により誘起されるMHbおよびSHb血症の治療に使用される薬物の適否について考察を加えた.
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