心選択性β-遮断薬Betaxololの腎性高血圧犬における抗高血圧作用
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概要
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心選択性のβ遮断薬であるbetaxololの腎性高血圧犬における抗高血圧作用とその機序について,atenolofおよびpropranololと比較検討した.一腎性Grollman型高血圧犬において,betaxololは単回経口投与で1mg/kgから用量に依存した降圧と心拍数減少を示した.これらの変化は24時間後には元の値に回復した.atenololは血圧には全く影響を与えなかったが,心拍数に対してはbetaxololよりもむしろ強い抑制を示した.propranololでは血圧,心拍数ともに有意な変化はみられなかった.連続投与実験においてはbetaxololの降圧作用は増強され,耐性は認められなかった.麻酔犬の後肢血流量は,betaxololの動脈内投与により用量依存性に増加し,その活性はpapaverineの約1/3であった.これに対しatenololは血流を全く変化させなかった.betaxololによる後肢血流増加はpropranololの静脈内投与によって影響を受けなかった.以上の結果よりbetaxololは腎性高血圧犬において単回および連続経口投与で抗高血圧作用を示すことが判明した.その作用機序として内因性交感神経刺激作用によらない,末梢血管抵抗の減少が示唆された.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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成松 明博
三菱化成(株)総合研究所
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戸部 昭広
三菱化成(株)総合研究所医薬研究所
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別所 秀樹
三菱化成(株)総合研究所医薬研究所
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鈴木 じゅん子
三菱化成(株)総合研究所医薬研究所
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喜多田 好
三菱化成(株)総合研究所医薬研究所
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成松 明博
三菱化成(株)総合研究所医薬研究所
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