心選択性β-遮断薬Betaxololのイヌ虚血心筋エネルギー代謝および糖代謝変化に対する作用
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概要
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心選択性β-遮断薬betaxololの虚血心筋に対する作用を,麻酔開胸犬の冠動脈を閉塞した時の心筋エネルギー代謝および糖代謝変化を指標に検討した.左冠動脈前下行枝を10および30分間閉塞し,虚血心筋を作製した.betaxolol(0.1または0.3mglkg)を冠動脈閉塞の5分前に静注した.betaxololは,心拍数,左心室内圧一次微分値,冠血流量および血圧を有意に低下させた.冠動脈閉塞により,心筋のクレアチン燐酸,ATP,総アデニソヌクレオチド,エネルギーチャージポテンシャルは有意に低下した.虚血10分後において,betaxololは,これらの心筋エネルギー代謝変化を有意に抑制した.また,0.3mg/kg投与群では,虚血30分後も,総アデニンヌクレオチド量は有意に高値であった.虚血心筋では,グリコーゲンの低下および乳酸の蓄積が認められ,糖代謝はボスホフルクトキナーゼの段階で阻害された.betaxololは,虚血10分後におけるこれらの糖代謝変化を抑制した.以上の結果から,betaxololは,冠動脈閉塞による心筋代謝の嫌気的状態への移行を遅らせ,虚血による心筋障害を軽減することが示唆された.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
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