新しいα,β-遮断薬,(±)-4-[2-Hydroxy-3-(3-(2-methoxyphenoxy)-2-propylamino)propoxy]-1(2H)-isoquinolinone(N-1518)の薬理作用
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概要
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新しいα,β-遮断薬,(±)-4-〔2-hydroxy-3-(3-(2-methoxyphenoxy)-2-propylamino)propoxy〕-1(2H)-isoquinolinone(N-1518)のα,β-遮断作用,抗高血圧作用およびその他の関連作用をlabetalolと比較検討した.また,N-1518の4種の光学異性体の摘出臓器でのα,β-遮断作用も検討した.N-1518はin vitro,in vivoにおいて強いα,β-遮断活性を示し,その活性はIabetalolと同程度であった.N-1518のin vitroにおけるβ<SUB>1</SUB>/α<SUB>1</SUB>比は8.3,in vivoにおけるβ<SUB>1</SUB>/α<SUB>1</SUB>比は13.6であった.N-1518のβ受容体に対する作用にはβ<SUB>1</SUB>選択性はみられなかったが,α<SUB>1</SUB>受容体には約20倍の選択性が認められた.N-1518の4種の光学異性体のなかではSR-isomerがもっとも強いβ遮断作用を示し,RR-isomerがもっとも強いα遮断作用を示した.麻酔犬において,N-1518はphenylephrineによる昇圧反応に対してもnoradrenalineによる昇圧反応に対しても競合的に拮抗したが,labetalolはnoradrenalineによる昇圧反応に対しては拮抗しなかった.N-1518は内因性交感神経刺激作用を示さず局所麻酔作用も示さなかった.自然発症高血圧ラット(SHR)および腎性高血圧犬においてN-1518は顕著な降圧効果を示した.腎性高血圧犬におけるN-1518の降圧効果はlabetalolより弱かったが,labetalolでみられた顕著な心拍数の上昇はN-1518ではみられなかった.麻酔犬の大腿動脈分枝への動注によって,N-1518では著明な血流量の増加が認められた.その強さはlabetalolの約3倍であった.以上よりN-1518はα,β-遮断作用を有する薬物であり,その作用はlabetalolと類似しているが,血管拡張作用が強いことなど興味ある性質を有する薬物であると結論される.
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