人胎盤ミトコンドリア中に含まれるtype A Monoamine oxidaseの存在について
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概要
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胎児―胎盤系機能の生理的意義の解明の一助として,ヒト胎盤mitochondria MAOの複数性につきtype Aおよびtype B MAOの特異的基質であるserotonin,β-phenylethylamine,tyramineおよび特異的阻害剤であるclorgyline,pargyline,deprenylを用い,ラット肝mitochondria MAOとその酵素化学的性格を比較検討し以下の成績を得た.1)胎盤MAOの場合何れの基質、および何れの阻害剤を使用しても阻害は認められたがclorgylineにより,より強く阻害された.すなわち,胎盤MAOはtype A阻害剤に対して高い感受性を示した.一方,ラット肝MAO活性はserotoninを基質とした場合はclorgylineにより,β-phenylethylamineを基質とした場合にはpargyline,deprenylにより強い阻害を受けた.Tyramineを基質とした場合にはclorgylineによりダブルシグモイド型のpI曲線が得られた.すなわち,ラット肝にはtype A MAOとtype B MAOが2:3の割合で存在する.2)胎盤MAOはtrypsin添加後30分で完全に失活したのに対してラット肝MAOでは,8時間を経過してもなお50%以上の活性が認められた.3)連続庶糖密度勾配法により胎盤およびラット肝mitochondria MAOを2つのfractionに分離した.これら2つのMAO fractionに対する阻害剤の影響は胎盤の場合,clorgylineを用いた際に若干異ったが,pargyline,deprenylを用いた際はほぼ同様であった.ラット肝の場合はいずれの阻害剤も若平異なった阻害態度を示した.4)ヒト胎盤より庶糖密度勾配法により得られた両fractionの基質特異性を検討した結果,その基質特異性には著明な相違は認められなかった.以上の結果より,ヒト胎盤mitochondria中にはtype A MAOのみの存在が示唆された.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
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