マウスの学習・記憶を評価するための簡便な多重迷路実験法:学習と記憶におよぼすScopolamineの効果への応用
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概要
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マウスを用いた多重迷路実験法を考案した.装置は,迷路が置かれた迷路ケージ,ホームケージ,およびスタートボックスよりなり,ホームケージは暗箱とした.迷路は3つの選択肢をもつユニットが4個からなる多重迷路とした.迷路の入口はスタートボックスと,迷路の出ロはホ―ムケージと,それぞれ連絡しており,餌はホームケージ内に,水は迷路の入ロ部に置かれた.本装置内で9匹のマウスを午前10時から午後8時まで飼育した後,別のケージに移し翌日の午前9時まで絶食とした.試行は1日1回午前9時から10時までの間に行われた.スタートボックスに置かれたマウスがホームケージに到達するまでの時間(RT)とその間のエラーの回数(誤選択肢に入った回数)を測定し1試行とした.計6回の試行を行った.マウスは2試行目で迷路を習得した(平均エラー数0.9回,平均RT20秒).装置を180度回転して行った4回目の試行ではエラー数,RTともに有意にふえた.迷路の正しい選択肢を変更して行った6回目の試行では,さらに著しいエラー数とRTの増大が生じた.迷路を習得したマウスに塩酸scopolamine(0.125〜0.5mg/kg)を投与し,30分後に試行を行った.scopolamineは用量依存的にエラ―数とRTを増大させた.6時間後の試行ではscopolamineの効果は消滅した.scopolamine(0.25mg/k9)が1群には装置内で飼育される直前に,1群には装置内で飼育された直後に投与された.装置内での飼育時間は4時間としその後翌日の試行まで絶食とした.scopolamineは直前投与,直後投与ともにマウスの迷路学習を妨げた.以上の結果は迷路のある環境で飼育されたマウスは自然に迷路を学習すること,およびscopolamineが学習能力,記憶の固定および記憶の再生のいずれの段階をも障害することを示唆した.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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村井 繁夫
岩手医科大学歯学部OSCE実施委員
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村井 繁夫
岩手医科大学歯学部薬理学講座
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阿部 英一
岩手医科大学歯学部小児歯科学講座
-
伊藤 忠信
岩手医科大学歯学部歯科薬理学教室
-
増田 義勝
岩手医科大学歯学部薬理学講座
-
斎藤 弘子
岩手医科大学
-
吉田 煕
岩手医科大学歯学部歯科薬理学講座
-
増田 義勝
岩手医科大学歯学部歯科薬理学講座
-
村上 秀元
岩手医科大学歯学部薬理学講座
-
斎藤 弘子
岩手医科大学歯学部薬理学講座
-
伊藤 忠信
岩手医科大学歯学部薬理学講座
-
伊藤 忠信
岩手医科大学医学部薬理学教室
-
吉田 煕
岩手医科大学歯学部薬理学講座
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