Monoamine Oxidaseに関する研究(第37報)―MAOに対する酸素濃度の影響―
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概要
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ラット脳および肝mitochondria標品を酵素材料とし,tyramineおよびserotoninを基質とした場合のそれぞれのpS曲線およびpargyline,pheniprazine,harmalineの阻害作用に対する酸素濃度の影響を検討した.脳MAOの場合tyramineを基質とするとそのpS曲線は酸素濃度に強く影響され,気相が100%酸素のときの活性は20%のそれに比して3倍以上であった.Serotoninを基質に用いた場合はそれ程影響されなかった,肝MAOの場合にもほとんど同様の結果が得られた.肝MAO活性に対し,基質をtyramineとし気相を100%酸素とした場合は,pargylineが最も高い阻害を示し,他の阻害剤の阻害は極く軽微であった.これに対しserotoninを基質とした場合はharmalineが最も高い阻害を示し,他の阻害剤の阻害は極く軽微であった.気相を20%酸素とした場合には,これらの三阻害剤による阻害度の相違は極く軽微であった.脳MAOの場合はtyramineを基質とし,気相を100%酸素とした場合pargylineが他の阻害剤に比して高い阻害度を示したが,その阻害度の差は肝MAOの場合に比し軽微であった.Serotoninを基質として使用した場合は,肝MAOの場合とほとんど同様の阻害が認められた.また,気相を20%酸素とした場合はtyramine基質の場合には三阻害剤の阻害度にはほとんど相違が認められなかったが,serotonin基質の場合にはharmalineによる阻害が他の阻害剤に比し特に著明に認められた.これら阻害剤の阻害様式をLineweaver-Burkの方法により検討した結果,pargylineの脳および肝M-MAOに対する阻害は総てnoncompetitiveであったのに対しpheniprazineの阻害は脳MAOの場合両基質でcompetitiveで,肝MAOの場合はnoncompedtiveであった.これに対し,harmalineの阻害はtyramineを基質とした場合competitiveで,serotonil1基質の場合noncompetitiveであった.すなわち,脳および肝MAOは酸素濃度およびこれらの阻害により全く相違した酵素化学的態度を示した.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
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