Berberine型アルカロイドの行動薬理学的研究(第2報) ―Tetrahydroberberineならびにその関連化合物の中枢抑制作用―
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概要
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Tetrahydroberberine(以下THBと略)およびその関連アルカロイドであるtetrahydrocoptisine(以下THCと略),tetrahydropalmatine(以下THPと略)およびtetrahydro-jateorrhizine(以下THJと略)について行動薬理学的にその作用様式をchlorpromazine(以下CPZと略)およびbenzodiazepinesと比較検討した.なおTHBに関しては脳波作用についても検討した.THBは一般にmajor tranquilizcrであるCPZに類似の薬理作用,すなわち抗mescaline作用,抗apomorphine作用,抗methamphetamine作用,条件回避反応の抑制作用などを示し,さらに脳波に対しては著明な影響を与え,特に大脳辺縁系後発射においてbenzodiazepinesとは異なり,CPZに類似の増強作用を認めた.またTHBはそれ自体ではcatalepsyの発現を来たさないが,CPZに協力的に作用した.一方,薬効量以上においても正常体温の下降,筋弛緩作用,および正向反射の消失はみとめられないという従来のmajor tranquilizerとも異なった効果を示した.急性毒性においてもCPZより著しく弱くchlordiazepoxide(以下CDOと略)よりもかなり弱いものであった。使用したTHB類似体は,d-THB,THJは著しく弱い作用であった以外はTHC,THPともほぼTHBと同等の作用を示し,<I>l</I>-THBはTHBの約1.5倍強力であった.これらのことからTHB,THC,THPはCPZに類似の作用を示すが,正向反射の消失,筋弛緩作用,体温下降作用などを来たさない点では新しい型のtranquilizerとしての有用性が期待される.
著者
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