EnfluranとHalothaneの薬理作用比較
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概要
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Enfluraneおよびhalothaneの薬理学的性質をラットおよびマウスを用いて検討した. enfluraneおよびhalothaneの血中濃度は両者とも約30分でプラトーに達し,初期取込み速度と最大血中濃度はhalothaneの方がenfluraneよりはるかに大きく,血中濃度の半減期はenfluraneの方が短かかった.ラット横隔膜神経筋標本の神経刺激に対して両者はほとんど影響を与えなかったが, enfluraneはsuccinylcholine chlorideの作用を増強した.ラット摘出腸管および摘出子宮に対し両薬物は張力を減少させた.ネコの膝蓋腱反射および屈曲反射に対し両薬物は抑制し, halothaneの方が強力であった.マウスの正向反射消失に対するED50はenfluraneで1.25%, halothaaeで1.40%であったが,両者に有意差はなかった.マウスの正向反射消失時間と致死までの時間はenfluraneがhalothaneよりも長かった.マウスの電気ショックによる強直性,間代性痙攣および致死に対して両薬物は抑制し, enfluraneはhalothaneより作用が強力であった. strychnine痙攣に対してhalothaneはわずかに抑制したが, enfluraneは抑制しなかった. pentylenetetrazol, picrotoxin, bemegrideによる痙攣について,両薬物はほぼ同程度に抑制した.これら電気ショックおよび中枢興奮薬による致死効果に対して両薬物は強力に抑制した.ラットの自発脳波に対して2%の両薬物は異なったパターンを出現させ, 4%ではスパイクを伴う平坦な脳波になった. recruiting responseについてenfluraneは周期の乱れとresponseの抑制を生じ, halothaneもresponseを抑制させた. augmenting responseについては両薬物をま抑制したが, halothaneの方が著明であった. arousal responseはenfluraneによって消失した.知覚神経刺激による皮質誘発電位の一次反応についてはenfluraneは陰性電位の増大を生じ, halothaneは抑制した.二次反応は両薬物によって完全に抑制された.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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重永 凱男
大阪大学歯学部口腔解剖学第二講座
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猪木 令三
大阪大学歯学部
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北川 純一
大阪大学歯学部第一口腔外科学教室
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岩壷 克哉
大阪大学歯学部薬理学教室
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北川 純一
大阪大学歯学部口腔外科学第一講座
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重永 凱男
大阪大学歯学部第二解剖学教室
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