モルモット摘出心・房標本の経壁刺激効果およびNicotine反応におよぼす1-ethyl-4-(2-morpholinoethyl)-3,3-diphenyl-2-pyrrolidinone hydrochloride hydrate(Doxapram)の影響
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概要
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モルモット摘出右心房標本の経壁刺激効果,ならびにnicotine反応におよぼすdoxapramの影響をdimorpholamineのそれと比較検討し,以下の成績を得た.1)Doxapramおよびdimorpholamineは,適用直後に一過性の軽度の心運動充進作用を来たしたが,後,抑制に転じた.2)Doxapramは,用いた濃度において経壁刺激効果に顕著な影響を示さなかったが,高濃度のdimorpholamineは,経壁刺激により生ずる心運動の停止を阻止し,また,停止につづく陰性変力ならびに変時作用を抑制した.3)Nicotineによる陰性変時ならびに変力作用に対して,doxapramおよびdimorpholamineは,いずれも顕著な抑制効果を示した.しかし,高濃度ではnicotineの陽性反応に対しても抑制作用を示した.4)外来性のacetylcholine(以下ACh)による心運動抑制作用に対して,doxapramおよびdimorpholamineはほとんど影響しなかった.外来性noradrenaline(以下NA)による心運動充進に対して,doxapramはほとんど影響しないか,軽度の抑制作用を示すのみであったが,dimorpholamineは,軽度に増強した.5)経壁刺激による副交感神経終末および交感神経終末の興奮伴い,またnicotineの副交感神経節および交感神経終末刺激を介し,それぞれAChおよびNAが遊離されることにより,陰性および陽性反応を生ずる.上記2),3)および4)から,doxapramは用いた濃度では副交感神経終末,ないしは心房筋muscarine受容体に対してほとんど影響することなく,むしろ一定濃度において,洞房結節ないしはその近傍に存在する副交感神経節のnicotine受容体遮断の結果,終末からのACh遊離を抑制することにより,nicotineの心房運動停止作用を阻止することが結論される.対照に用いたdimorpholamineは,そのほか副交感神経終末に対する直接作用によりACh遊離を阻害し,経壁刺激に対する心房運動停止反応を阻止すると考えられる.また,両薬物とも高濃度では,交感神経終末に対する作用によりnicotineのNA遊離を抑制し心房運動促進を阻止する.
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