Ifenprodilの末梢循環作用,とくにその特異な脳循環作用ならびに作用機構について
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概要
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熱電効果による組織血流持続測定法により,クラーレ化,人工呼吸下のネコの,皮膚,筋,肝,心筋,腎,大脳皮質,海馬,扁桃核,視床下部,小脳皮質の局所血流を測定し,これに対するifenprodilの作用ならびに作用機について検討した.1)IfenprodiIは皮膚血流を減少させたが,腎血流は滅少させず,むしろ増加させた.2)Ifenprodilは肝血流に二相性変化を起こさせたが,減少の程度より増加の程度の方が大であった.3)Ifenprodilは筋,心筋の血流および椎骨動脈流域にある扁桃核,視床下部,小脳皮質の血流を著明に増加させた.4)外頸動脈流域にある大脳皮質および海馬の血流はifenprodilの作用をほとんど受けなかうた。5)IfenprodiIは血圧を下降させた.血圧の下降度および持続は投与量が増すにつれて大となった.6)Ifenprodilの末梢循環作用の機序として,アドレナリン効果性α遮断作用,軽度のβ作用および血管平滑筋弛緩作用などが考えられる,しかしコリン効果性作用も全くは否定できないものと考えられる.7)IfenProdilは特定の部位の血流および血圧に対して,用量によりアドレナリン効果性α作用とα遮断作用とのdualactionを示した.8)Ifenprodilの血管平滑筋弛緩作用には,直接作用のほか代謝系を介する二次的作用のある可能性が考えられる.9)Ifenprodilに推定される代謝系に対する作用,および中枢に対する作用などについては,さらに検討の加えられることが望ましい.10)以上のごとく,ifenprodilは多彩な作用機構を持つ血管拡張薬であり,ことに脳循環に対しては主として椎骨動脈流域にある部位の血流を選択的に増加させる特色のある薬物と考えられる.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
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