前立腺抽出物(PE)の薬理作用(IV) 若干の種属の前立腺酸性ホスファターゼおよびこれにおよぼすPEの影響
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概要
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ラット,サルおよびヒト前立腺Acphaseの若干の性質について検討し,ついで,前立腺肥大症治療効果を示すPEのこれらのAcphase活性におよぼす影響について検討し,以下の成績を収めた.1)ラット諸臓器のAcphase活性は脾臓〉肝臓>腎臓>胸腺>肺>睾丸≥前立腺>副腎>精嚢のごとくであり,前立腺のAc phase活性は0.69KA unit/0.1g tissueとかなり低い御こ過ぎなかった.しかし,サル前立腺のAc phase活性は336KA unit/0.1g tissueと著しく高く,他の臓器のそれの200〜700倍におよんだ.2)L(+)-tartaric acidによりラット諸臓器のAc phase活牲はいずれも軽度阻害され,前立腺Ac phaseに対する特異性はみられなかった.しかし,サル前立腺のAc phaseはL(+)-tartaric acidによりほぼ完全に阻害され,他の臓器のそれは軽度阻害されるに過ぎなかった.formaldehydeによりラット諸臓器のAc pahseはかなり強く阻害されたが,前立腺Ac phaseに対する特異性はみられなかった.サル前立腺Ac phaseはformaldehydeにより軽度阻害されたが,他の臓器のそれは比較的強く阻害された.L(+)-tartaric acidおよびformaldehydeのサル精嚢Ac phaseに対する態度は前立腺Ac phaseに対する態度とほぼ同様な傾向を示した.L-cysteineおよびsodium thioglycolateによってラットおよびサルのいずれの臓器のAc phaseもほとんど影響を受けなかった.また,ethanolによってはサル諸臓器のAc phaseはいずれも70%以上阻害され,前立線Ac phaseに対する特異性はみられなかった.3)ヒト前立腺の精製Ac phaseはL(+)-tartaric acidによりほぼ完全に阻害され,formaldehydeでは軽度阻害されるに過ぎなかった.L-cysteineおよびsodium thioglycolateではほとんど影響がみられず,ethano1ではかなり強く阻害された.4)サル前立腺Ac phase活性はPEにより約2倍に賦活されたが,他の臓器のAc phase活性には影響がみられなかった.5)ヒト前立腺の精製Ac phase活性はPEにより賦活され,その賦活作用は濃度にほぼ比例して強くなった.また,その他の前立腺肥大症治療薬ではCerniltonに賦活作用がみられたが,その作用はPEに比して軽度であった.ParaprostおよびEviprostatでは賦活作用はみられず,逆に阻害作用がみられた.L(+)-tartaric acidで阻害されたAc phase活性はPEにより回復し,また,Cerniltonによっても回復したが,その作用はPEに比して軽度であった.
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