インターロイキン1受容体を介した誘導型NO合成酵素発現機序
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
Protein kinase Cα(PKCα)に対するantisense-oligodeoxynucleotide(AS-PKCα)を培養血管平滑筋細胞(VSMC)にtransfectionし,PKCαをknockdownした状態で,インターロイキン1β(IL-1β)刺激による誘導型NO合成酵素(iNOS)遺伝子発現およびNF-κBの核内移行をそれぞれRT-PCR/Northern blot及びEMSA法を用いて観察した。また,PKCαの存在はWestern blot法を用いて検討した。AS-PKCαによるPKCαのknockdownはIL-1βによるiNOS遺伝子発現をほぼ50%抑制し,PKC阻害薬であるRo 31-8220を処置した場合は,iNOS遺伝子の発現はほぼ完全に抑制された。従ってiNOS遺伝子発現はPKC依存的であり,PKCαがその活性の約半分を担っていることが示唆された。一方,IL-1β刺激によりNF-κBは細胞質から核内へ移行することが確認された。VSMCにおけるNF-κBは,各種抗体を用いたsupershiftの実験により,p65及びp50のヘテロダイマーであった。iNOS遺伝子発現に対する作用とは異なり,IL-1βによるNF-κBの核内移行はAS-PKCαによるPKCαのknockdown,あるいはRo 31-8220処置により何ら影響を受けなかった。従って,NF-κBの核内移行はPKC非依存的であることが示唆された。<BR> 以上の結果より,IL-1β刺激によりNF-κBの核内移行が観察されたが,この反応はiNOS遺伝子発現とは異なり,PKCαおよびそれ以外のPKC isozymesによる調節を受けない,PKC非依存的な経路を介していると思われた。NF-κBがpromoter上のκBサイトに結合したのち,実際に転写活性を高める過程にPKCαが関与している可能性が考えられる。
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
関連論文
- 432 VASを用いた抗ヒスタミン薬の効果および副作用の比較
- 鼻過敏症動物モデルにおける鼻粘膜ヒスタミンH1受容体mRNA発現上昇とヒスタミンH1受容体拮抗薬による抑制
- ヒスタミンH_1受容体の蛋白キナーゼCによるリン酸化と脱感作
- PKCによるヒスタミンH_1受容体のリン酸化
- プロテインキナーゼCアイソザイムの細胞機能と病態における役割 : 新たな視点からの創薬への応用
- 238 ラット鼻粘膜におけるPAFのhistamine H1 receptor(H1R)mRNA発現に及ぼす影響
- 277 ラット三叉神経節神経細胞におけるPAF及びTXA2のhistamine H1 receptor mRNA発現に及ぼす影響
- P181 ロイコトリエン受容体拮抗薬投与による鼻粘膜H1受容体発現up-regulatiOnのメカニズムの解明(花粉症3,第20回日本アレルギー学会春季臨床大会)
- ラット三叉神経節神経細胞におけるPAFのヒスタミン H_1 receptor mRNA 発現に及ぼす影響
- 71. NO合成酵素誘導によるAdenosine-弛緩の増強
- iNOS誘導阻害と創薬 : 新しいタイプの鎮痛薬の可能性
- ヒスタミンH_1受容体のリガンド認識と受容体活性化機構
- 血管平滑筋における炎症性サイトカインIL-1によるNO合成酵素発現機序
- S2-1. 血管平滑筋における炎症性サイトカインIL-1によるNO合成酵素発現機序
- 炎症性サイトカイン, インターロイキン1によるiNOS mRNA分解抑制におけるMAPキナーゼ系の関与
- 34. LPSによるiNOS誘導はIL-1β遺伝子発現を介している
- 38. 血管平滑筋におけるインターロイキン1受容体を介した誘導型NO合成酵素発現におけるNF-κBの核内移行及びProtein kinaseCの活性化の役割
- インターロイキン1受容体を介した誘導型NO合成酵素発現機序 (第27回薬物活性シンポジウム講演要旨集)
- 70. 血管平滑筋におけるInterleukin 1受容体を介した誘導型NO合成酵素の発現機序
- 血管内皮NO産生におけるCa^動態
- ET_Bアゴニストによる内皮依存性弛緩反応は内皮で誘導されるNO合成酵素を介している
- 血管内皮のNO産生系とCa^機構
- ヒスタミンH_1受容体による情報伝達調節機構
- 所感・薬理学
- インターロイキン1受容体を介した誘導型NO合成酵素発現機序
- MS4-4 スギ花粉暴露によるスギ花粉症患者鼻粘膜ヒスタミンH1受容体遺伝子発現の亢進に対する抗ヒスタミン薬の効果(MS4 曝露〜花粉と黄砂,ミニシンポジウム,第63回日本アレルギー学会秋季学術大会)