ハムスター精子の先体反応に及ぼすホスホリパーゼA2添加の効果
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概要
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農林水産省畜産試験場,茨城県筑波農林研究団地305ホスホリパーゼA2が精子の先体反応に及ぼす効果を調べるため,5または15mg/mlのBSAを含むmTAPL(modified Tyrodes solution with albumin,pyruvate and lactate)にハチ毒腺由来ボスホリパーゼA2を無添加または10および50mU/ml添加し,その中で5-7×105/mlのハムスター精巣上体尾部精子を2-5時間インキュベートした.先体反応の判定には位相差顕微鏡を用い,100個の生存精子における先体反応精子数を調べた.その結果,ホスホリパーゼA2を添加してインキュベートしたとき先体反応は3時間以内で顕著に促進され,この促進効果は低濃度のBSA存在下で強まる傾向がみられた.また,ハチ毒腺,ヘビ(Naja naja)毒腺およびブタ膵臓由来のホスホリパーゼA2について先体反応の促進効果を比較した結果,これらの間に効果の差は認められなかった.以上の実験成績より,ホスホリパーゼA2はハムスター精子の先体反応を促進する効果を有し,その効果は比較的短時間のインキュベーションや低濃度のBSA存在下で強まると考えられた.これらの事実は,精漿中に見いだされる本酵素の活性が精子の先体反応に何らかのかかわりをもつ可能性を示唆している.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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