プラスミンおよびトリプシンによる牛乳のラクトフォリンの蛋白分解
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概要
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ラクトフォリン(LP)は牛乳脂肪球皮膜の可溶性糖タンパク質の抗体と反応するプロテオースペプトンのコンポネント-3画分中の糖タンパク質である.本研究では,未加熱脱脂乳中のLPの自動的蛋白分解は牛乳固有のプロテアーゼであるプラスミンによって行なわれていることを証明するために行なった.LPはプラスミンあるいはトリプシンと共にインキュベートした後,PAGE, SDS-PAGE,免疫電気泳動および単一拡散免疫電気泳動法で分析した.LPはその1/44量のプラスミンおよび1/50量のトリプシンで37°Cで1分間インキュベートする事によって加水分解されたが,同条件で,それぞれ1/220および1/300量では電気泳動的変化は認められなかった.しかし,1/1,100量のプラスミンおよび1/1,000量のトリプシンで37°Cで14日間にわたってインキュベートすると,中間体を経て,分解されていることがSDSPAGEで観察された.免疫電気泳動における加水分解中のLPの沈降線の挙動は,初め長くなり,次に移動度が減少したが,そして短くなるというように変形していった.さらにLPの抗原性は次第に減少したが,14日後で約80%の抗原性が残存していた.LPはトリプシンに対してよりもややプラスミンに対して感受性が高い傾向が見られた,以上の結果から,脱脂乳中におけるLPの分解は主としてプラスミンによるものと推定された.また,LPの2つの主要なポリペプチドのうち,分子量の小さいバンド(17K)は大きいバンド(25K)の加水分解物であると推定された.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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