飼料中のジゼロシン(魚粉由来)がブロイラーの死亡率と発育に及ぼす影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ブロイラーの筋胃潰瘍は,ある種の魚粉が含有しているジゼロシン(GIZZ)が,原因物質であることが明らかにされた.引き続いて当該物質の有機合成が可能となり,合成GIZZを添加した飼料で,ブロイラー雛を一週間飼育した場合の,死亡率と発育に及ぼす影響が検討された.今回はGIZZ含有魚粉を配合した飼料で,4週間飼育した場合の影響について,検討した.GIZZを11.6ppm含んだ魚粉を,8または30%配合し,GIZZを0.93及び3.48ppm含む飼料を,4日齢のブロイラー雄雛各100羽に給与した.飼料と水は自由摂取させた.体重は,個体毎に毎日測定した.死亡雛が発生した場合には,剖検して筋胃潰瘍症状を調査した.雛の体重が,前日より減少し,または等しかった場合には,その雛を成育停滞雛と規定した.4週間の死亡率は,0.93ppm区が25%,3.48ppm区では83%であった.前者では,最終週の死亡率が最高となったが,後者では,初めの2週間までに大半の雛が死亡した.生存雛の体重は,試験2日目を除いて,3.48ppm区は常に0.93ppm区より有意に小さかった.試験終了時の体重は0.93ppm区では0.3〜1.4kg,3.48ppm区では0.1〜0.9kgの間に分布し,前者の変動係数は20%に達した.この区の生存雛中53羽は成育停滞が見られ,13羽は成育停滞は見られなかったが,成長率は低かった.9羽は正常に発育し,終体重は1.2〜1.4kgであった.後者の生存雛17羽は,総て著しい成育停滞を示した.これらの知見は,ブロイラー雛のGIZZ感受性は,個体間で大きな相違があることを示しているものと考えられた.
著者
関連論文
- 飼料中のジゼロシン(魚粉由来)がブロイラーの死亡率と発育に及ぼす影響
- シメチジン,重曹および硅酸マグネシウムのブロイラー筋胃潰瘍抑制効果
- 加熱時間と温度が魚粉中ジゼロシン生成に及ぼす影響
- ブロイラーの黒吐病と魚粉中のジゼロシンの関連