加熱時間と温度が魚粉中ジゼロシン生成に及ぼす影響
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概要
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魚粉中のジゼロシン(Gizz)は,乾燥時の過熱によって生成されることが,経験的に知られている.本実験は,加熱温度•時間と,魚粉中のGizz生成との関係を明らかにすることを目的として行なわれた.八戸地区産の市販魚粉(通称ホールミール)を,水分定量用のアルミ容器に取り,厚さを均一に15mmとして,その中に熱電対を入れ,魚粉の品温が記録されるようになっている電気恒温器に入れ,50°Cから200°Cまで,10°C刻みで,時間は0.5ないし1時間間隔で,3hまで加熱した(80°Cの場合は最大168hまで).魚粉品温が所定の温度に到達した時を以て,加熱0hとした.各設定区ごとに,2サンプル作成した.魚粉のGizz含量はHPLCで化学的に定量した.100°C:2hでGizaの生成量は0.5から0.8ppmへ1hよりわずかに増加した.Gizzの生成がこの間に開始されたものと考えられた.加熱温度が高くなるに従って,Gizz生成量は増加し,かつ短時間に最高値に達した.全設定区中最高値の25.0ppmは190°C:0hで得られた.80°Cでは24時間後にGizzの増加が認められ,増加傾向は120hまで継続した.このことは,実用的な流通•貯蔵の過程で,特に夏季に,魚粉の取り扱いが不適切な場合には,Gizzが生成•蓄積される可能性があることを示している.150°C:3hでの生成量は13.6ppmで,2hの生成量14.4ppmより減少した.同様な現象は,160°C:2h,170°C:1h,と180°C:0.5hにおいても認められ,Gizzの生成と同時に,分解もより高温で促進されると考えられた.200°C:0hの値は,この温度では品温が所定温度到達以前に,分解が始まったことを示している.従って190°C:0hの値も,最高値はそれ以前に得られ,わずかに分解が起った結果である可能性を否定できない.直火乾燥方式で作られた魚粉の中には,明らかに魚粉臭を欠き,砂状の物性を示すものがある.このような魚粉は,本実験の結果から,一度生成されたGizzの大部分が分解している可能性が高い.このような場合には過熱による蛋白質の栄養価の低下が起こっているものと考えられる.一方経験的に黒吐病を発症させる魚粉は,外観性状が良いものであることが知られている.いずれにしても,直火乾繰方式による魚粉の使用に当っては,十分な注意が必要である.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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