筋発生初期におけるブタ筋原細胞の分化調節
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概要
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クローン化ブタ筋原細胞(sMc-1a)の分化およびそれに伴う細胞性状をブタ胎児抽出物(SFE),あるいはウシ胎児血清(FCS)を添加した培養系で研究した.sMc-1aの増殖はSFEとFCSを共に含む培養(Cp-培養)で最も著しく,SFEだけを含む培養(Se-培養)ではほとんど起こらなかった.FCSだけを含む培養(Fe-培養)ではCp-培養ほどではないが細胞増殖が生じた.紡錘系で両極性の細胞(SB-sMc-1a)と平板状で多角形の細胞(FP-sMc-1a)がすべての培養系で形態学的に区別できた。SB-SMC-1aはSe-とCp-培養で数多く,小型ないし大型と変化し,さらに細長い細胞が確認できた.大型SB-sMc-1aはSe-培養で,小型の細長いSB-sMc-1aはCp-培養で数多く出現した.FP-sMc-1aは大型でFe-培養で数多く,その後のSe-培養で大型のSB-sMc-1aに変化した,少数の小型で細長いSB-sMc-1aが常にFe-培養に存在した.筋原細胞の分化指標であるクレアチンホスホキナーゼMMおよびミオシン蛋白は免疫細胞組織学的に小型で細長いSB-sMc-1aにおいて大型SB-sMc-1aおよびFP-sMc-1aより強い陽性反応を示した.以上の結果はFCSはsMc-1aの増殖の維持と大型SB-sMc-1aがSB-sMc-1a分化するのに必要であり,SFEはFP-sMc-1aが大型のSB-sMc-1aに移行する際に不可欠あることを示す。FP-sMc-1aは分裂可能な筋芽細胞前駆細胞(proliferating myob1ast precursors)で,大型SB-sMc-1aは小型の細長いSB-sMc-1aに分化できる筋芽細胞(postmitotic myob1asts)である可能性を示唆する.
著者
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山口 高弘
東北大学農学部
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北澤 春樹
Laboratory of Animal Products Chemistry, Department of Animal Science, Faculty of Agriculture, Tohok
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北澤 春樹
Laboratory of Animal Products Chemistry, Department of Animal Science, Faculty of Agriculture, Tohoku University
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