条件的不死化細胞の創薬研究への応用
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概要
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ヒトゲノムプロジェクトが完遂し, ゲノム創薬がクローズアップされている. 条件的不死化細胞は, いわゆる“ポストゲノム”の時代において, ハイスループットスクリーニングなどにより, 迅速に大量の化合物をスクリーニングする際のツールとしてもきわめて有用であり, 創薬のシーズ探索のツールとして大きな貢献が期待される. 条件的不死化細胞株化のための手法の一つとして, 温度感受性SV40 T遺伝子を導入した動物を用いる方法がある. 本手法により樹立された細胞株は, 培養温度が33℃の条件では増殖するが, 39℃にシフトさせると増殖を停止し分化するという特性を持つ. したがって本手法においては, 第一に, これまで株化が困難であった組織や, 微量にしか採取できない細胞の, 許容培養温度条件下での増殖が可能となり, より広範な種類の細胞の株化が期待される. 第二に, 培養温度をコントロールするだけで細胞分化を誘導できることから, 分化に伴って発現する遺伝子プロファイルを調べたり, その機能解析などへの応用も可能である. また, さらに, 特定の遺伝子を欠損した動物と交配して得られた動物から同様に細胞株が樹立できれば, 欠損遺伝子の生理機能の解析手段となりうる. 実際, ビタミンD受容体(VDR)が欠損した細胞株を作出し, 1,25(OH)<SUB>2</SUB>D<SUB>3</SUB>は, VDR依存性に骨髄間質細胞の脂肪細胞への分化を抑制していることを明らかにすることができた. 今後, 本手法が創薬をはじめ医薬品開発に活用されることを期待したい.
- 日本DDS学会の論文
- 2003-03-10
著者
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