都市環境に見られるスズメの巣立ち後のヒナ数の少なさ : 〜一般参加型調査 子雀ウォッチの解析より〜
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
近年,日本国内においてスズメ Passer montanus の個体数が減少していると言われている.その原因はわかっていないが,熊本で行なわれた先行研究では,都市部では農村部とくらべて1つがいが連れている巣立ち後のヒナ数が少なく,都市化にともなう何らかの要因がスズメの減少をもたらしている可能が示唆されている.しかし,この研究は狭い地域で行なわれたものであり,それが本当に日本全体でも起きているかはわからない.そこで2010年にこの研究と同じく,巣立ち後のヒナ数を調べる調査を「子雀ウォッチ」と銘打ち,一般市民に協力してもらう形で全国規模で行なった.その結果,全国から406の記録が集まり,それを解析したところ,巣立ち後の平均ヒナ数は,商業地で1.41羽,住宅地で1.81羽,農村では,2.13羽と,商業地,住宅地,農村の順で多くなった.この結果は前述の先行研究の結果と整合性があり,やはり都市化と関連している何らかの要因が全国規模でスズメの減少要因になっていると考えられる.この子雀ウォッチを今後もつづけ,記録を蓄積することで,スズメの減少要因の解明につながると期待できる.
著者
-
上田 恵介
立教大学理学部
-
笠原 里恵
立教大学理学部生命理学科
-
松井 晋
大阪市立大学大学院理学研究科
-
松井 晋
Laboratory of Animal Ecology, Department of Life Sciences, Rikkyo University
-
上田 恵介
立教大学理学部動物生態
関連論文
- 南大東島に生息する鳥類の血液原虫感染状況(寄生虫病学)
- 南大東島へのニューギニアヤリガタリクウズムシの侵入
- 南大東島で採集された蚊における鳥マラリア原虫遺伝子の検出(寄生虫病学)
- A31 南大東島における鳥マラリア媒介蚊の季節消長(第59回日本衛生動物学会大会特集)
- 個体数が減少したオガサワラオオコウモリ保全のための緊急提言
- 2008年度 博物館資料論1〈巡検〉報告--野外観察・野外採集 作ってみようミニ博物館
- 学会記事 公開シンポジウム報告 今,なぜ熱帯が面白いか?--温帯ドグマからの脱却
- 2007年度博物館資料論〈巡検〉報告 野外観察・野外採集 作ってみようミニ博物館
- 2006年度博物館資料論〈巡検〉報告 野外観察・野外採集 作ってみようミニ博物館
- C105 ブチヒゲヤナギドクガの生物学的研究XXI : 成虫に対するスズメの捕食(個体群動態2)