乳汁の複合脂質に関する研究 : VII. 牛乳および人乳の糖脂質組成
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概要
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1. 牛乳および人乳の糖脂質組成を明らかにする目的でTLC法および珪酸カラムクロマトグラフィー法により糖脂質を分画し,各々の画分中の糖量を測定し糖脂質組成を求めた.なお,珪酸カラムクロマトグラフィーで分画した各画分についてはTLCでその成分を確認した.2. TLC法で分画した結果,牛乳および人乳糖脂質とも5つの画分にわわれた.各画分を上端よりTG1〜TG5としその割合を測定した結果,牛乳ではTG1=30.1%, TG2=46.7%, TG3=9.8%, TG4=6.3%, TG5=7.1%であった.これに対して,人乳ではTG1=26.8%, TG2=15.2%, TG3=12.0%, TG4=19.2%,3. 牛乳糖脂質を珪酸カラムクロマトグラフィーで分画すると4つのピークにわかれた.それを溶出順にSG1〜SG4とし各々の割合はSG1=33.9%, SG2=41.9%,SG3=8.5%, SG4=15.5%であった.人乳糖脂質を珪酸カラムクロマトグラフィーで分画すると5つのピークにわかれた.それを溶出順にSG1〜SG5とし各々の割合はSG1=26.7%, SG2=14.8%, SG3=9.8%, SG4=22.5%,SG55=26.2%であった.4. 珪酸カラムクロマトグラフィーで分画した各画分についてTLC法でその糖脂質を確認した結果,牛乳糖脂質では6成分,人乳糖脂質では7成分存在することを確認した.そしてTG1とSG1は同一物質でCMH(セラミド•モノ•ヘキソシド),TG2とSG2は同一物質でCDH(セラミド•ジ•ヘキソシド)と推定された.5. 牛乳糖脂質と比較して人乳糖脂質には糖含量の高い糖脂質が多量に含まれていることがわかった.
- 社団法人 日本畜産学会の論文