カゼインの分画および変性について : V. カゼインのN-末端アミノ酸とレンニン変性におけるその変化
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概要
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1. αR-およびκ-カゼインのN-末端アミノ酸をDNP法によって検討した.αR-カゼインのN-末端アミノ酸は,蛋白質105gについてアルギニンが4.2モル,リジンが0.5モル,グルタミン酸が0.4モルであった.κ-カゼインの場合は,アルギニンが2.6モル,リジンが0.6モル,グルタミン酸が0.5モル,ロイシンがO.4モルであった.2. αR-およびκ-カゼインの分子量を,いずれも20,000台と仮定すると,αR-カゼインのN-末端アミノ酸はアルギニンのみであって,その他のものは,N-末端アミノ酸と考えるには少なすぎる.またκ-カゼインの場合には,蛋白質1モルに対して,アルギニンは約0.5モルとなるので,これをN-末端アミノ酸として認めるには問題がある.その他のアミノ酸も,N-末端として考えるには少なすぎる.3. この2種のカゼインにレンニンを作用させ,そのときのN-末端アミノ酸の変化を検討した.レンニン処理κ-カゼインには,無処理のものと比較して,多少の変化が認められ,リジンとアルギニンが多少減少し,少量のメチオニンが新しく現われた,αR-カゼインの場合は,フェニルアラニンが少量増加したほかは,ほとんど変化がなかった.
- 社団法人 日本畜産学会の論文