ラット未受精卵子の最終的運命について
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概要
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ラットとの未受精卵子の最終的運命を検討して,次の結果を得た.1. 未受精卵子が子宮に到達する時期は,排卵後おおむね68〜75時間である.2. 排卵後74〜92時間では,一貫して平均8ないし9.6個の子宮内卵子が得られた.排卵後94〜96時間(次期排卵時)では,7個体中2個体から16個(うち12は個は次期排卵未了のものから),排卵後98〜100時間(次期排卵後2〜4時間)では,36個体中2個体から5個の子宮内卵子が得られたにすぎない.なお,これらの時期において,子宮内卵子(2〜3個)と次期排卵による卵管内卵子(9〜13個)がともに得られたのは,3個体だけであつた.3. 5日性周期(休止期が延長したもの)のラットでは,排卵後106〜108時間でも,平均8.3個の子宮内卵子が得られ,たとえ時間は経過しても,次期排卵前ならば,卵子の採取は容易であつた.4. 腟(外陰部付近)を結紮した4日性周期ラットで,排卵後102〜104時間のものでは,腟内に分泌液が充満し,分解した卵胞細胞群を多数認めたが,6個体のうち2個体から,それぞれ1個と4個(次期排卵による卵管内卵子9個と13個)の腟内卵子が得られた.5. 子宮から卵子が採取できなかつた42個体のうち41個体では,子宮分泌液がなく,採取できた26個体のうち20個体では,子宮分泌液が存在した.このことから,卵子が採取できることと,子宮分泌液の存在とは,密接な関連があることがわかつた.6. 排卵後80〜81時間以後の卵子においても,そのほとんど全部が透明帯を有する.これを消失したものは,少数(195個のうち4個)に過ぎない.7. 以上の結果から,未受精ラット卵子は,排卵後68〜75時間で子宮にはいり,次期排卵時に,子宮分泌液とともに,腟を経て体外に排泄される機会が多いと考えられるが,分解した状態で排泄されることも,あり得ると推測される.終わりに,指導を賜わつた加藤浩教授に深い感謝の意を表する.
- 社団法人 日本畜産学会の論文