傾斜地茶園の開園方式・管理条件と土壌侵食防止機能
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概要
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土壌侵食をもたらす表面流去水発生の一要因である土壌の透水性が,茶園の開園・栽植方式およびうね間の管理条件によってどのように影響され,さらに土壌侵食の防止に果たす機能について49年から52年にかけて調査した。この結果を要約すると次のとおりである。<BR>1. 茶株内の地表到達雨量は露地の21〜75%,平均43%で,残余の雨量は樹幹を経て株元へ流下する。<BR>2. 階段畑における表層土の透水性はすそ下が最も大きく,株元がこれに次ぎ,うね間が最も劣ったが,テラス全体としては山側で小さく,谷側で大きかった。<BR>3. 斜面畑における透水性は,緩傾斜では株元が最も大きく,すそ下がこれに次ぎ,うね間が最も劣った。<BR>しかし,急傾斜では株元が最も大きく,次いで株元下方のすそ下で,うね間と株元上方のすそ下が最も劣った。<BR>4. 降雨による流出水量は斜面畑の等高うねで少く,縦うねで多かった。耕作道型斜面畑の等高うねはこの中間であった。従って,流出水量は傾斜の大小よりも栽植方式の影響が大きかった。<BR>5. 敷わら,中耕などの管理条件により流出水量は減少し,最も流出水量の多かった斜面畑・縦うねでは無処理に比し40〜50%,等高うねでは10%前後の減少がみられた。<BR>6. 土壌の流出は流出水量の多かった斜面畑・縦うねの無処理と中耕に集中豪雨時にのみ発生した。<BR>7. 敷わらの連用は土壌構造の発達を促し,大幅な透水性の増加が認められた。<BR>以上の結果から傾斜地茶園における土壌侵食の防止機能は開園方式では階段畑が,栽植方式では等高うねが,うね間の管理条件としては敷わらなど粗大有機物のマルチが最も大きいといえよう。<BR>本報告は,農林省環境保全別枠研究の委託試験として,その一部を担当したもので,試験の遂行に当たり,前農林省茶業試験場・河合惣吾場長,同現栽培部・平峯重郎部長および茶樹第3研究室・青野英也室長に多大のご指導とご援助を載いたので,ここに深く感謝する。
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著者
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