深むし茶の火入れ
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概要
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深むし茶の最適火入れ条件を究明するため,回転型火入れ機を用い,火入れ操作の要因実験を行い火入れ温度と品質,火入れ温度と時間の関係を調べた。また火入れ程度とジメチルスルフィドのピーク強度との関係も検討した。試験結果を要約すると次のとおりである。<BR>(1)火入れ温度と時間が茶の水色および香気に及ぼす影響を調べた結果,水色は火入れ温度が低く,しかも時間の短いものほど良好であったが,香気は温度と時間の関係が認められ,良好な香気の発揚する火入れ時間があり,それをすぎると不良の香気が生成した。<BR>(2)火入れ温度と最適取出し時間は,火入れ温度が低くなるに従い時間は長くなり品質も良好となった。火入れ温度と最適取出し時間の関係は,110℃で50分,120℃で40分,130℃で25分,140℃で22.5分と認められた。<BR>茶の品質を香気と滋味を中心にすれば,これらの時間より数分長くする必要が認められた。<BR>(3)火入れ温度と取出し茶温についてみると110℃で99.0℃,120℃で101.8℃,130℃で107.4℃,140℃では112.5℃となる。また,投入量は茶温に影響され,少ない量(8kg)のほうが茶温が少し高くなることを認めた。<BR>(4)ジメチルスルフィドのピーク強度と官能検査による火入れ程度との間にほぼ一定の傾向が認められ,香気が良好と認められたものは,ピーク強度が高く,火入れしすぎ,あるいは不足のものはピーク強度が低いことが認められた。<BR>本実験を行うにあたり終始御懇篤な御指導をいただいた農林水産省茶業試験場製茶第3研究室原利男室長,ガスクロマトグラフによる分析に御助力いただいた製茶第2研究室岩浅潔室長ならびに化学研究室池ヶ谷賢次郎室長,調査,協力いただいた静岡県茶業試験場柴田雄七研究主幹,高橋宇正技師,小泉豊技師に深く感謝します。