茶再製工場の粉じんとその対策に関する調査
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概要
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静岡県内の茶再製工場(6工場)において,ハイボリュームサンプラー(H.V),ローボリュームサンプラー(L.V),労研式粉じん用個人サンプラー(個人サンプラー),デジタル粉じん計,粒度分布測定器,及び労研式じん埃計等の測定装置を使用し,茶粉じんの発生状況を調査した。また,その対策について検討を行った。<BR>1.調査6工場の粉じん濃度は,H.Vのサイクロン上(ガラス繊維ろ紙上に捕集された粉じん)が0.10〜0.83mg/m<SUP>3</SUP>,同じくサイクロン下(H.V付属のサイクロンのダストボックスに捕集された粉じん)が0.48〜11.37mg/m<SUP>3</SUP>L.Vが0.23〜9.53mg/m<SUP>3</SUP>,個人サンプラーがtr.〜4.10mg/l,デジタル粉じん計が0.03〜0.26mg/m<SUP>3</SUP>であった。また,H.Vに捕集された粉じんの平均粒径は,サイクロン上が1.1〜2.1μm,サイクロン下が3.0〜6.5μmであった。<BR>2.茶再製工場の粉じんは,ふるい分け機械,とうみ茶葉投入搬出口等比較的多くの場所で発生している。特に,ふるい分け機械周辺は粉じん濃度が高く,2台の総合仕上機の谷間になるような地点ではこの傾向が強かった。<BR>3.ふるい分け工程に設置したH.Vのサイクロン下に捕集された粉じんの60〜70%は,サイクロン上の粉じんと同様5μm以下の微細粉じんであった。また,この程度の微細粉じんは,工場内の気流の影響を受け,工場内に拡散し易いものと思われた。<BR>4.工場内の作業場容積の割に荒茶処理量が多い工場は,粉じん濃度が他工場に比べて高い傾向にあった。<BR>5.現在,再製工場における粉じん対策は,ごく一部の工場において部分的な集じん機の導入(ふるい分け機械のふるい網面付近,とうみ排気口,合組機の茶葉搬出口等)という型でみられるが,最も対策が必要と思われるふるい分け機械の粉じん対策は,技術的にも経済的にも限界がありほとんど成功していない。この対策としてはふるい網面にカバーを施し,投入口とは直結する(ふるい分け機械の密閉化)ことが有効と思われたので,既存の廻しふるいの密閉型試作機を作成した。本機は,現在静岡県内の一部の工場で稼動中である。<BR>6.発じん量が多く,比較的初期の工程である粉抜ぎ用廻しふるい,あるいは総合仕上機等においては,集じん機との直結を計り,密閉条件下における効率の良い集じんについて検討する必要がある。<BR>7.集じん機の種類は,茶粉じんの中にも5μm以下の微細粉じんが比較的多く存在しているため,バッグフィルター型が理想的であるが,設備費,メンテナンス等において問題があるため,茶粉じんに最適なサイクロン型集じん機の設計,及び運転条件等について検討する必要がある。<BR>8.集じん機を効率良く利用するためには,多岐管を使用し,2ヵ所以上の発じん源を1台の集じん機で同時に集じんすることが不可欠である。このためには,再製工程を可能な範囲内でブロック化ないしはライン化し,発じん量,及び集じん形態をブロック別あるいはライン別に統一することが有効である。なおその際,フード前面における制御風速,ダクト中の搬送速度等に十分注意する必要がある。<BR>9.現在,茶粉じんも含め有機性粉じんの労働安全性に関するデータはほとんどない。しかし,茶粉じんの内5μ1n以下の微細粉じんは,今後一般環境の悪化に伴ない作業者の健康に悪影響を及ぼす可能性があるとする意見もあり,効果的な粉じん対策と共に適切な安全性評価基準の確立が望まれる。
- 日本茶業技術協会の論文
著者
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