山間地域の平坦部と山間部における茶芽の特性
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概要
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平坦部の土山と山間部の信楽における気象,茶芽の生育,品質の差異を調査した。<BR>1) 収量は,土山がやや多く,製茶品質は信楽が外観香気,滋味で優れ,特に香気の差が目立った。<BR>2) 信楽の品質が優れた要因として,気温の日較差,降水量など,気象による影響が大きいと考えられた。<BR>3) 茶芽の生育は,土山が芽数型,信楽が芽重型の傾向で,新芽の形質と品質との相関で,土山では葉硬と負,百芽重と正,摘採期と正の相関がみられた。これらのことから,土山では新芽の生育硬化速度が速い。信楽は新芽の形質と品質との相関はみられず,摘採時期よりも地形による差異が大きいと考えらた。<BR>4) 土壌条件から見た茶樹の生育は,土山の洪積世赤黄色土壌及び腐植質黒ボク土壌が秀れるものと考えられるが,信楽では春季にpHの上昇がみられ,また,ECも溶脱の激しい花崗岩土壌にもかかわらず,春先から二番茶期まで高く保たれており,肥培管理により,環境改善が図られているものと推察された。リン酸,カリの吸収は,信楽がすぐれた。<BR>5) 荒茶中の成分は,土山ではタンニン,マンガンが一,二番とも多く,石灰も二番茶で多い。信楽ではリン酸が一,二番茶に,カリが一番茶に多く,これらの成分が製茶品質に影響を及ぼしているものと推察された。なお,今後の研究課題として,気象条件と土壌条件および品質との関連についての研究が必要であろう。<BR>本調査にあたり,気象観測サンプル提供など,ご協力いただいた信楽町朝宮地区,杉本正一良,北田芳夫,村井弘,植西善和,片木明,北田治央,土山町大野地区,中村隆治,安井敬一,奥村啓次,前野房司,石田清之祐,奥村隆一,各氏に謝意を表する。<BR>なお本報のとりまとめに当たり,懇切なご助言とご指導を賜った農林水産省茶業試験場茶樹第3研究室長青野英也博士,同枕崎支場茶樹第1研究室簗瀬好充室長に対し,厚くお礼申上げる次第である。
著者
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