培養卵管上皮細胞の生死が鶏精子の生存性延長に及ぼす影響
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概要
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鶏精子の生存性が培養細胞の生死によって影響を受けるか否かを検討した.白レグ産卵鶏の卵管上皮から得た細胞を41°C,5% CO2+95%空気の条件下で培養した.培養開始3日後に紫外線を照射し細胞を死滅させた区(死滅区)と,照射せず生存状態に保った区(生存区)を設定し,両区にそれぞれ2×108/mlの濃度になるように精子を添加して,41°Cの温度条件下で保存した.その結果,死滅区の精子は2日後に室温での運動を停止したのに対し,生存区の精子は6日間運動性を維持した.2日間保存の精子を人工授精した結果,死滅区の精子では受精卵は得られなかったが,生存区の精子では56.3%の受精率が得られた.つぎに,培養3日後の細胞に精子を添加した区(添加区)と添加しなかった区(無添加区)を設定し,両区の生存細胞数を毎日測定すると同時に添加区における精子の運動性及び奇形率の推移を測定した.その結果,生存細胞数は培養開始2日後に最高になり,その後は徐々に減少したが,3日後に精子を添加することにより急速に減少した.これに伴い精子の運動性は速やかに低下し,生存細胞数と精子の運動性との間に高い正の相関(r=+0.85)が認められた.以上の結果から,鶏精子の生存延長をには生きている培養細胞の存在が有効であり,さらに両者の関係は互いの生存を助け合う相互協力的なものではなく,一方的に精子が細胞に依存していると考えられた.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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